分解ガソリン (Pygas)
[原料] - 原油
[最終製品] - パラキシレン、ベンゼン、トルエン、キシレン
原油の高沸点留分の熱分解や接触分解により得られる低沸点のガソリンです。
ナフサ分解によって副生される炭素数6~8の炭化水素混合物で、芳香族系炭化水素の含有量が高くベンゼン、トルエン、キシレンの抽出原料となります。
製造方法
油田から運ばれてきた原油は石油精製工場に運ばれます。
石油精製工場に運ばれた原油は蒸留塔でいろいろな石油成分に分けられます。
それぞれの石油製品は沸騰しはじめる温度が違う性質があります。
これはそれぞれの石油製品は気体(石油蒸気)から液体(石油製品)に変化しはじめる温度も違うということです。
この性質を利用し原油を加熱して生まれた気体(石油蒸気)からそれぞれの石油製品に分けていくことができます。このことを蒸留(じょうりゅう)といいます。
こうして生成された石油製品のひとつであるナフサが分解ガソリンや石油化学製品の原料になります。
このナフサを、温度約840~920℃、滞留時間0.03~0.5秒において多量のスチームとともに分解炉に通して熱分解します。
生成分解ガスから硫化水素、二酸化炭素などの酸性ガス成分や水分を除き、微量のアセチレンは部分水素化してエチレンに変え、冷却圧縮してC2以上の成分を液化させ、ガス状のメタン、水素を分離します。
液化成分は低温精留によりエチレン、プロピレン、ブチレンなどを分離します。その後C4留分の抽出蒸留によりブタジエンが分離されます。なお、エタンは分解炉へ再循環させ、プロパンは燃料に利用されます。
一方液状生成物のC5留分から、イソプレン、シクロペンタジエンなどが抽出分離されます。
こうして残ったC6~C8留分が分解ガソリンで、芳香族炭化水素に富むガソリンです。
分解ガソリンは水素化精製したのち溶剤抽出によりベンゼン、トルエン、キシレンが分離されます。残余の液状生成物は重油配合材となります。
この一系列の操作で主要な石油化学工業の基礎原料の大部分が製造されます。
原料や操作条件によって異なるが、主要な生成物の収率(重量%)は、原料ナフサに対してエチレン25~31%、プロピレン12~16%、ブチレン3~8%、ブタジエン4~5%、BTX10~13%程度です。ナフサ分解では多量のスチームを加えて熱分解するため、スチームクラッキングともよばれています。